【完】俺がずっと、そばにいる。
一瞬だけ顔と顔が触れそうなほどに近づいて、自分の心臓がドキッと跳ねたのがわかる。
「……っ!?」
同時にゆずがめちゃくちゃビックリした顔してたけど。
「あー、うん。俺も味わかんねぇわ」
なんて、チョコが付いた部分はほとんど食べていないのに、適当なことを言う俺。
平気な顔でやってみせたけど、内心心臓バクバクだ。
そんな俺をギョッとした顔で見つめながら、うろたえるゆず。
「……ちょっ!えっ!?りっくん、何やってんの!?」
顔を真っ赤にさせながら口元を抑える姿は、どう見ても照れているようにしか見えない。
「味見。なに、ドキッとした?」
わざとらしく聞いたら、さらに困ったような顔になる彼女。
「なっ……」
なんだよその顔。すげぇ可愛いんだけど。
「し、心臓に悪いよっ!」
そんなふうに答えるゆずは、俺のことをちょっとくらいは意識してくれてるんだろうか。
今のは、ドキドキしたと思っていいの?