【完】俺がずっと、そばにいる。

「あぁ、何食べようかな。とりあえず沖縄そばでしょ、タコライスでしょ、ちんすこうはお土産に買うとして……」


キャリーバッグを片手に、ブツブツ言いながら指折り数える私の頭を、うしろからポンと誰かが叩いてくる。


「またお前は食い物のことばっかり」


「わっ」


顔を見なくても、その口調と声ですぐにわかった。


「やっぱり~!りっくんだ!」


振り返るとそこには、いつものように呆れた顔をする彼の姿。


私服だから、なんかちょっと雰囲気が違って新鮮だ。


いつにも増してイケメンオーラが漂っているような。


りっくんに限らず、今日は修学旅行だから全員私服で来てるんだけど、普段見慣れてる制服姿とは違うから、みんないつもと違って見える。


普段はおとなしそうな人が、意外と派手な恰好をしていたり、逆に目立つタイプの人の私服姿が意外と地味で驚いたり……。


それをただ観察しているだけでも楽しくて、朝から琴子と二人、周りを見ながらずっと盛り上がっていた。


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