【完】俺がずっと、そばにいる。
だけど、何回コールしても電話に出なくて。
ダメだ。気づいてないみたい。
もしかして、本気で怒ってるから出ないとか?まさかね……。
「あれ、柚月?」
するとその時、背後から誰かに名前を呼ばれて。
ハッとして振り返ったら、そこには今日何度目かの咲夜くんの姿があった。
……ウソ。
なんでまたこんなとことで会っちゃうんだろう。
正直今一番会いたくなかった相手だよ。
「また会えた。奇遇だね~。一人で何してんの?」
そう言う咲夜くんもなぜか一人でいたけれど、ニコニコしながらこちらへ近づいてくる。
私は若干警戒しながらも、愛想笑いしながら答えた。
「い、いや別に、ちょっと海を見ようかな~なんて思って」
だけど、明らかに不自然なことしか言えない。
そもそもここに一人でいることが不自然すぎるよね。
「へぇ~、そっかぁ。気が合うね。俺も夜の海が見たくてさ。っていうか、柚月ちょっと元気ないね。なんかあったの?」
「えっ」