【完】俺がずっと、そばにいる。
聞き覚えのある声に、どきんと胸が高鳴る。
この声は、間違いない。顔を見なくてもすぐにわかる。
「……りっくん?」
振り向いたらやっぱり、そこにいたのは彼だった。
「ゆずに触るなって言ってんだろ!何回言ったらわかんだよ」
りっくんは咲夜くんに向かって低い声で怒鳴りつける。
そんな彼の姿を見ていたら、たちまち胸の奥から熱いものがぐっとこみ上げてきた。
ねぇ、どうして彼はいつもこういう時、必ず助けに来てくれるんだろう。
さっきまで喧嘩してたのに。私、嫌な態度取っちゃったのに。
りっくんは私に怒ってたんじゃないの?
「おっと、誰かと思えば桜井くんじゃん」
咲夜くんはりっくんを見るなりパッと私の手を離す。
そして、ヘラヘラと笑いながら、また嫌味っぽく話しかけてきた。