【完】俺がずっと、そばにいる。
「よく俺たちがここにいるってわかったねぇ。せっかく今から二人で夜の散歩に行こうと思ってたのに。残念だなぁ〜」
「……チッ。お前が無理矢理誘ったんだろ」
「そんなことないよ。ねぇ、柚月?」
「えっ、違っ……」
またしてもその場に嫌な空気が流れる。
すると、りっくんが私の体をさらにぎゅっと自分のほうへと強く抱き寄せて。
「言っとくけど、こいつは俺のだから。お前なんかに渡さねぇよ」
……えっ。
思いがけない発言に、一瞬心臓が止まるかと思った。
ウソ、どうしよう。
やだ私、なんかめちゃくちゃドキドキしてるんだけど……。
本気で言ってるわけじゃないってわかってるのに。
りっくんとの距離が近すぎて、まるで抱きしめられているみたいで、全身がじわじわと熱くなってくる。
咲夜くんはそんなりっくんを見て一瞬驚いていたけど、すぐにまた不敵な笑みを浮かべる。
「……ははっ、意外と大胆なことするね~。急に強気じゃん。そういうの、ますます燃えるかも」
「はぁっ?」
「意外と暑苦しいタイプなんだね、君」
「……っ」
「まぁいいや。仕方ないから二人きりにしてあげるよ。それじゃ、ごゆっくり~」