【完】俺がずっと、そばにいる。

私がそう言うと、ハッとした顔で慌てたようにその封筒を拾うりっくん。


そして、無造作にカバンの中に突っ込んだ。


でも残念。隠せてない。


「えへへ、ごめんね。み―ちゃった」


私がニヤニヤしながら彼の腕をポンと叩くとりっくんは困ったように顔をしかめる。


「……っ、見んなよ。べつにただの手紙だろ」


とか言ってるけど、明らかにこれはラブレターだと思う。


今までもそうだったし。


べつに隠さなくてもいいのになぁ。


「モテる男は大変だねー」


「うるせぇ。人のこと言えんのかよ」


「ちゃんと返事してあげなよ?」


「わかってるよ」


りっくんはダルそうにそう答えると、スタスタと早足で歩きだす。


私はそのあとを小走りで追いかけて隣に並んだ。


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