【完】俺がずっと、そばにいる。

その瞬間、急にあったかくなる右手。


りっくんの手とコートのぬくもりに包まれて、かじかんだ手がじわじわと体温を取り戻していく。


「冷え性なんじゃなかったのかよ」


「はい。冷え性です……」


「だったら体冷やすなよ」


ぶっきらぼうに聞こえるけど、思いやりのある言葉にちょっぴり感激してしまう。


「うん、ありがとう。りっくんの手はいつもあったかいね」


はにかみながらそう口にしたら、りっくんがさらに私の手をぎゅっと強く握る。


「まぁな」


こうやってさりげなくあっためてくれるりっくんは、やっぱりすごく優しい。


前にもマフラー貸してくれたし。


なんだか手だけじゃなくて、心まですごくあったかくなったような気がした。


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