【完】俺がずっと、そばにいる。
私がますますむくれてみせると、そこで何を思ったのか急に立ち止まり、自分のマフラーを外すりっくん。
そしてそれを両手で持ちながら、私の首にかけてくれた。
「……えっ?」
ポカンとして彼を見上げる。
「仕方ねぇな。貸してやるよ」
ウソっ……。
「い、いいの?」
「うん。俺あんま寒くないし」
「うわぁ、ありがとう~!」
なんだ。やっぱり優しいじゃん。
口では意地悪なこと言うけど、本当はすごく思いやりのある彼。
こうやっていつもさりげなく助けてくれたり気を利かせてくれる。
「ふふっ。りっくんは、優しいね」
マフラーを首に巻きなおして、笑顔で再び彼を見上げる。
そしたらりっくんは照れ臭そうに横を向きながら、ボソッとつぶやいた。
「……何言ってんの?お前にしかしないよ。こーいうこと」
「へっ?」