【完】俺がずっと、そばにいる。
思わずシュンとして下を向く。
そしたらりっくんが急に立ち止まり、繋いでいた手を離して。どこからともなくカードのようなものを二枚取り出すと、私の目の前に差し出してきた。
「予定ないならちょうどよかった。ハイ」
「……ん?」
それを目にした瞬間、ギョッとする私。
「えぇっ!?な、なにこれっ!」
ちょっと待って。ウソでしょ。
だって、このカード……私が見たかったあの映画の前売り券だよね。
どうしてりっくんがこれを……。
私が目を見開いたまま固まっていると、りっくんはさらに信じられないことを口にする。
「クリスマスイブ、空けといて。暇なんだろ?ゆずが観たいって言うから、買っといた」
「う、ウソ……」
「マジ」
「え~っ!でも、ちょっと待って!りっくんたしか、クリスマスイブの日は予定があったんじゃ……」