【完】俺がずっと、そばにいる。

思わずシュンとして下を向く。


そしたらりっくんが急に立ち止まり、繋いでいた手を離して。どこからともなくカードのようなものを二枚取り出すと、私の目の前に差し出してきた。


「予定ないならちょうどよかった。ハイ」


「……ん?」


それを目にした瞬間、ギョッとする私。


「えぇっ!?な、なにこれっ!」


ちょっと待って。ウソでしょ。


だって、このカード……私が見たかったあの映画の前売り券だよね。


どうしてりっくんがこれを……。


私が目を見開いたまま固まっていると、りっくんはさらに信じられないことを口にする。


「クリスマスイブ、空けといて。暇なんだろ?ゆずが観たいって言うから、買っといた」


「う、ウソ……」


「マジ」


「え~っ!でも、ちょっと待って!りっくんたしか、クリスマスイブの日は予定があったんじゃ……」


< 242 / 376 >

この作品をシェア

pagetop