【完】俺がずっと、そばにいる。
「えっ、冷た!りっくんの手超冷えてるじゃん!絶対めちゃくちゃ早く来てたでしょ」
「そんなことねぇって」
なんて言いながらサッと目をそらす彼の目は少し笑っているように見える。
ほら、やっぱり早く来て待っててくれたんだ。
それをあえて認めないところがまた彼らしいんだけど。
寒い中待たせちゃって悪かったな。
りっくんが私の手を握り返し、こちらを見上げる。
「ゆずの冷え性がうつっただけだろ」
「……なっ。冷え性なんてうつるわけないじゃん!」
「ははっ」
イタズラっぽく笑うその顔は、子供みたいでちょっと可愛い。
ぶっきらぼうだし、素直じゃない時もあるけど、誰よりも思いやりにあふれてるりっくん。
ほんとに、優しいなぁ。
私はそのまま彼の隣に腰掛けると、一緒に電車を待った。
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