【完】俺がずっと、そばにいる。
*彼氏のフリ
それから数日後。
休み時間、私が机の上にファッション雑誌を広げまじまじと眺めていたら、どこからかりっくんが現れて、話しかけてきた。
「……何読んでんの?」
「ん?あぁ、これ?今月のノンナだよ」
「ふーん。お前ファッション誌なんか読むんだ」
「読むよ」
「グルメ雑誌かと思ったわ」
「ちょっ……!」
なにそれ、失礼な。
いや、確かに私は食べるの大好きだし大食いだけどね?
だからってグルメ雑誌までわざわざ買って読まないよ。
「また人のことバカにして~!私だって一応ねぇ、女の子なんです!可愛い洋服着たいし、メイクだって覚えたいのっ」
「へー、そうなんだ。誰のために?」
そう言いながら雑誌のページをペラペラめくるりっくん。
「だ、誰のためって……自分のためだよ」
すると、たまたまめくり終えた最後のページに、デカデカと春瀬ひまりの写真が載った口紅の広告が出てきた。
「「あ、春瀬ひまり」」