【完】俺がずっと、そばにいる。
「いや、俺のほうこそ、今まで付き合わせてごめん。自分で彼氏のフリとか言い出したくせに、こんなの反則だよな」
「そんなこと、ないよ……。りっくんが謝らないで……っ」
「でも俺、毎日ゆずの近くにいられて、嬉しかった。すげぇ楽しかったよ」
そんなふうに言われたら、ますます涙が止まらなくなる。
「わ、私も……っ、楽しかったよ……」
まるでこれが、最後のお別れみたいに言わないで。
りっくんがどこか遠くへ行ってしまうように感じる。
おかしいよね。私よりも、りっくんのほうがずっと辛いはずなのに。なんで私がこんなに泣いているんだろう。
「だからこれでもう、契約終了ってことで。恋人のフリは解消だな。今までありがとな」
りっくんが握手を求めるように、手を差し出す。
その手をそっと握る私。
「……うん。ありがとう、りっくん」
そして、この日を境に私たちの仮恋人契約が終了した。
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