【完】俺がずっと、そばにいる。

いつものように下駄箱に来て靴を取り出し、上履きをしまう。


すると、その時ふと隣に誰かが現れて、同じように上履きをしまうのが見えた。


見覚えのあるその姿にハッとして振り返ると、そこにいたのは……。


「りっくん!」


思わず少し声が大きくなった。


偶然。こうして帰りにバッタリ会うなんて。


「あ、ゆず」


彼もちょっと驚いたようにこちらを振り返る。


「今帰り?」


「うん」


「そっか。私もだよ。あれ、玲二くんは今日バイト?」


「いや、あいつは今日は友達とカラオケだって」


「へーっ、そうなんだ~」


なんだか普通に話せていることに少し安心する。


どうしよう。偶然こんなところで会っちゃったし、この際一緒に帰ろうって声をかけてみようかな?


だって、りっくんも今帰るところなんだもんね?


そう思っておそるおそる声をかける私。


「あ、あのよかったら……一緒に帰る?」


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