【完】俺がずっと、そばにいる。
それを聞いて、二人はこれからバイト先に行く途中なんだということは分かったけれど、それでもやっぱりその光景にひどくショックを受けている自分がいた。
ふと、りっくんにこの前「もう一緒に帰れない」みたいに言われたことを思い出す。
あれ以来りっくんとは一緒に帰らなくなっちゃったけど、彼はこうして亜美ちゃんとは一緒に帰ったりしてたんだ。なんか、ショック……。
――チリンチリンチリン!
するとその時、呼び鈴を鳴らす音と共に、向こう側からものすごい勢いで自転車が走ってくるのが見えて。
「あぶねっ!」
その自転車が亜美ちゃんのすぐそばを通ろうとしたところを、とっさにりっくんが守るようにして彼女の肩を勢いよく抱き寄せた。
「きゃっ!」
一瞬彼が亜美ちゃんを片腕で抱きしめたような体制になって、それを見た途端ズキンと胸に鋭い痛みが走る。
りっくんはすぐに彼女から手を離したけれど、その光景は私の目にしっかりと焼き付いた。