【完】俺がずっと、そばにいる。
「……はー。ったく、なんだよあのチャリ。飛ばしすぎだろ。大丈夫か?」
「だ、大丈夫っ」
「お前もあんまボケッとしてんじゃねぇよ」
「ごめんねっ。ありがとう、梨月くん」
彼女の無事を確認するりっくんと、照れたように彼を見上げる亜美ちゃん。
そんな二人の姿を見ていたら、なんだかいたたまれなくなってきて、気づいたら私はその場から逃げるように走り出していた。
来た道を引き返し、先ほど通り過ぎた公園の中へとダッシュで駆け込んでいく。
「……っ、はぁ、はぁ」
息切れしながらいつも寄り道するベンチの前まで来ると、そこにぺたんと座り込んだ。
逃げちゃった……。何やってるのかな、私。
早く帰らないと、雪がどんどん大降りになってきてるのに。
なんだかもう力が出ない。動けない。
さっきの二人の姿が、頭から離れなくて……。
どうしようもなく胸が苦しかった。