【完】俺がずっと、そばにいる。
琴子が腕を離し、再び私の顔をじっと見つめる。
「……うん。でも私、今さらどんな顔して言えば……」
「大丈夫。まだ間に合うから。梨月くん、きっと待ってるよ」
「琴子……」
「後悔しないようにって言ったでしょ?」
琴子にポンと肩を叩かれ、ハッとする。
彼女の言葉が、臆病な私の背中を押してくれる。
「うん、ありがとう。そうだよね」
私ははっきり笑顔でうなずくと、胸の中で自分も決意した。
やっぱりりっくんに、自分の気持ちちゃんと伝えよう。
いまさらでもいい。遅くてもいいから。
後悔だけはしないように……。
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