【完】俺がずっと、そばにいる。

混乱する頭の中。ドクドクと落ち着きなく脈打つ心臓。


あれ?今私、車にはねられそうになって、それで……。


でも、助かったの?


誰かが私を助けてくれたんだ……。


おそるおそる目を開けると、自分がまだその人の腕の中にいることに気が付く。


体に感じる温もり。どこか覚えのある匂い。そしてさっき私の名前を呼んだあの声。


ねぇ、もしかして、今のは……。


「りっくん……!?」


すぐさま起き上がって確認したら、そこにあったのは、目をつぶりながら横たわるりっくんの姿だった。


やだ。やっぱり……。


ドクンと心臓が跳ねて、一瞬言葉を失う。


彼は、あのまま追いかけてきて、車にはねられそうになった私をとっさにかばって助けてくれたんだ。


どうしよう……。


見ると彼は、苦しそうに顔を歪め、額や頬のあたりには何か所も擦り傷ができている。


そんな痛々しい姿を目の当たりにして、だんだんと体が震えてくる。


ねぇ、まさか……彼は無事だよね?大丈夫だよね?


「ねぇりっくん!大丈夫!?」


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