【完】俺がずっと、そばにいる。
安心したように声を掛けられ、ポカンとする私。
「えっ?」
訳が分からずキョロキョロ辺りを見回すと、どうやらここは病院の病室みたいで。
しかも、自分はベッドに横たわっているらしい。
先ほどとはまるで逆の状況に、頭が混乱しそうになった。
ちょっと待って。じゃあ、さっきのは……。
「大丈夫か?」
「え……う、うん」
私が答えると、りっくんは再びホッとした顔で笑う。
「ふぅ、よかった。先生はショックで気失っただけって言ってたけど、なかなか目覚まさねぇから心配した。しかもなんかすげぇうなされてたみたいだし」
「え、ウソ」
そう言われて、自分は夢を見ていたのかなと思う。
それじゃ、さっきのは全部夢?それで、こっちが現実ってこと?
「あ、ゆずの親もさっきまでここにいたけど、弟の塾の迎えがあるとかで一回出てったよ。またすぐに戻ってくるって」
「あ、うん……」
だけど、私はやっぱりすぐには信じられなかった。