【完】俺がずっと、そばにいる。
りっくんは平気な顔で言うけど、結構な大ケガだと思う。
だって一歩間違ったら本当に今ここにいなかったかもしれないんだから。
自分の危険も顧みず、私のことを守ってくれたんだね。
「ごめんね。私のせいで……っ」
急に申し訳なくなって、私がまた泣きだしたら、りっくんは片方の手を私の頭の上にポンと乗せた。
「べつにゆずのせいじゃねぇだろ。俺が助けたくて助けたんだから」
そんなふうに言ってくれる彼は、まるでヒーローみたいだ。
「ゆずが無事でよかった」
優しく微笑む彼を見て、涙がポロポロとこぼれ落ちる。
「りっくん……無茶しすぎ」
やっぱり、りっくんは優しすぎるよ。
どうしてそんなに優しいの。
「うぅっ。死んじゃったらどうしようかと思った……。よかったっ」
目をこすりながら泣きじゃくる私の肩に、りっくんが手を添える。