【完】俺がずっと、そばにいる。
片手で涙を拭いながら、はにかんだように笑ってみせる。
「今頃気が付いて、ごめんね」
そしたら次の瞬間、りっくんが片腕を伸ばし、私を力いっぱいギュッと抱きしめてきた。
「……っ、バカ。ほんとマジ、なんだよお前……」
耳元で聞こえる彼の声が震えている。
「不意打ちすぎて、リアクションのしかた分かんねぇんだけど」
「うん。ごめん……」
「嬉しくて俺、どうにかなりそう。夢じゃねぇよな?」
「……うん。夢じゃないよ」
だって、こんなにあったかいんだもん。
りっくんの腕の中は、こんなにも。
「りっくんが無事でよかった。ほんとに……。ちゃんと好きって言えてよかった」
私がしみじみとそう呟くと、りっくんがゆっくりと腕を離し、顔を上げる。
そして、私の顔を覗き込むようにじっと見下ろしながら言った。