【完】俺がずっと、そばにいる。

片手で涙を拭いながら、はにかんだように笑ってみせる。


「今頃気が付いて、ごめんね」


そしたら次の瞬間、りっくんが片腕を伸ばし、私を力いっぱいギュッと抱きしめてきた。


「……っ、バカ。ほんとマジ、なんだよお前……」


耳元で聞こえる彼の声が震えている。


「不意打ちすぎて、リアクションのしかた分かんねぇんだけど」


「うん。ごめん……」


「嬉しくて俺、どうにかなりそう。夢じゃねぇよな?」


「……うん。夢じゃないよ」


だって、こんなにあったかいんだもん。


りっくんの腕の中は、こんなにも。


「りっくんが無事でよかった。ほんとに……。ちゃんと好きって言えてよかった」


私がしみじみとそう呟くと、りっくんがゆっくりと腕を離し、顔を上げる。


そして、私の顔を覗き込むようにじっと見下ろしながら言った。


< 366 / 376 >

この作品をシェア

pagetop