【完】俺がずっと、そばにいる。

スピーカーの向こうで、りっくんが少し嬉しそうにつぶやく。


『お前全然俺の気持ちに気付いてなかったくせに。鈍すぎてマジどうしようかと思ったわ』


「なっ」


鈍すぎて……それ、琴子にも言われた気がする。


確かに告白されるまで、全然気づかなかったんだ私。


「ご、ごめんね」


『まぁ、別にいいけどな。やっと本物の彼氏になれたし。でも俺、一応ケガ良くなるまで数日間は安静にしろって言われてて。何日か学校休むしかねぇけど、お前俺のこと忘れたりすんなよ』


そう言われて、あらめてケガのことを思い出す。


そうだ。りっくんは今日頭を何針か縫ったばっかりで、腕も捻挫してて、今だって本当はすごく痛いはずなんだ。


病院の先生やりっくんのお母さんは、「この程度で済んでよかった」なんて言ってたけど、じゅうぶん大ケガしてるんだよね。


さっそく学校で会えないのは残念だけど、仕方ない。


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