【完】俺がずっと、そばにいる。
うんざりしたような顔でフゥッとため息をついたかと思うと、道路にペッと唾を吐く男。
そして、カバンを片手で背負うように持ち直したかと思うと、
「あーもう、彼氏持ちとかめんどくせぇな、行こうぜ」
そう言って二人の仲間を引き連れて去っていった。
その様子を見て心底ホッとする私。
よかった……。いなくなってくれた。
だけど、そのままボーっとしていたら、目の前のりっくんにいきなりチョップされた。
「バカ、お前なにやってんだよ!いきなり電話切るし!」
「……っ」
言われてハッとして、さっき通話途中で電話を切ってしまったことを思い出す。
あぁ、そうだった。もしかして、だから来てくれたのかな?
「ごめん……。さっき電話しながら歩いてたらうっかりあの人にカバンぶつけちゃって、そしたらしつこく絡まれて……。怖かったから思わず電話切っちゃったの」