【完】俺がずっと、そばにいる。

そのまま急に立ち止まり、こちらを振り返るりっくん。


そしてじっと私の目を見つめたかと思うと、


「俺が彼氏のフリ、してやろっか?」


思いがけないセリフに、一瞬思考回路が停止した。


「えぇ~っ!?」


ちょ、ちょっと待って……。なになに?


彼氏のフリ?りっくんが?


どうしたの?急にそんな……。


けれど冗談かと思いきや、意外にもりっくんの表情は真剣だ。


「そしたらゆず、告白とかナンパとかもされなくなるんじゃねぇの?」


「え……いや、うん。そうかもしれないけど……。でも、そんなのりっくんが迷惑なんじゃ……」


「いや、俺にもちゃんとメリットあるし。女よけになるからちょうどいい」


ウソ……。


「ほ、本気で言ってるの……?」


なんだか信じられなくて、確認するように問いかける。


そしたらりっくんは真顔でうなずいた。


「うん、本気」


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