【完】俺がずっと、そばにいる。
うそ~っ。どうしよう。
彼氏のフリだなんて、そんなのアリなのかな?
いや、もちろん助かる部分もたくさんあるとは思うけど、そんなにうまくいくかな?
よりによってりっくんがこんなことを言いだすなんて意外すぎて……。
「べつに難しく考えんなよ。あくまで“フリ”だから。学校でとか、帰り道とか、なるべく一緒にいて、それでお前が嫌な思いすることが減るならそれでいいし、俺も女子に囲まれなくて助かるし。試しにどうかなって思っただけだよ」
……そっか。りっくんも助かるんだ。
確かにいつも女子に言い寄られて迷惑そうにしてるもんね。
「それともやっぱ、フリでも嫌?誰かと付き合うの……」
そういわれてドキッとした。
「あ……」
りっくんがこう私に問いかけたのには理由がある。
なぜなら彼もまた、私が頑なに彼氏を作らない本当の理由を知ってるから。
過去の辛い経験も全部、りっくんには打ち明けてある。
なかなかそこから前に進めないことも、彼は知っているんだ。