花のように、風のように
大人の事情

きっかけ

朝10時、家事を終えた美波はいつものようにパソコンの前に座った。

優しい夫とかわいい子供たちに囲まれた生活には大きな不満はなかったが、正直、平凡な毎日にうんざりしていた。
学生時代から数年の交際期間の後に結婚した美波は、それまで数人の男性しか知らなかった。

そんな彼女は、ふとしたことがキッカケになりチャットや出会い系サイトでオトコ達と会話を楽しむようになった。
年下や年上、いろんな職業のオトコたちが彼女に興味を示した。
久しぶりにチヤホヤされる快感に彼女はのめり込んでいった。
刺激のない彼女の生活は一変し、昼間の自由な時間のほとんどをパソコンの前で過ごすようになった。

知らないオトコだし、実際に会って浮気してるわけじゃないから大丈夫。

彼女は心の中でそう割り切っているつもりだった。

ある朝、以前にサイトで知り合ったオトコからメールがきていた。
こんなサイトで知り合ったオトコの言うことを信頼するほどバカじゃないがシンプルなその内容がとても気になった。

  改めてプロフ送ります。
  年齢40代
  身長180cm
  体重68kg
  会社経営しています。
  一度ランチでもいかがですか?

ランチかぁ…。
最近友だちもみんな仕事を始めて相手にしてもらえなくなったし、たまには美味しいもの食べたいな。

相手のオトコのことはともかく、気分転換に出かけたいと思った。

  メールありがとうございます。
  ランチですか?
  嬉しいな。
  じゃ、火曜日の11時に中野公園で待ってます。
  何か目印はありますか?


  車で行きます。
  白のベンツですからわかると思います。
  携帯番号教えますのでわからなかったら
  電話してください。
  090-××××-××××

こんなサイトで知り合ったオンナにいきなり番号教えちゃって大丈夫なのかしら?
変な人だったらどうしよう…。
少し不安だったが、とりあえず行ってみることにした。

嫌だったら帰ればいいんだし。


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