The after story【1】 - 魔王に恋した勇者のお話 -

プロローグ

　あるところに一つの惑星がありました。
　豊かな海をたたえた丸い惑星には広大な大陸と小さな島々があり、二種類の人類が不仲に暮らしていました。
　一方は魔族と呼ばれ、強大な力ととても長い命を持つ種族です。
　獣に似た姿の者から、人の姿をした者まで、数多くの見た目を持つ彼らでしたが、例外なく、ただ一人の王に忠誠を尽くしていました。
　もう一方は『人間』という種族です。
　彼らは全員人の姿しており、力が弱く命も短い代わりに、魔族と比べて子どもをたくさん産むことができるという特徴を持っていました。
　『人間』たちは国という単位で何人かの異なる王を頂きながら、ときには『人間』同士でさえ戦争をする、好戦的な種族でした。
　文化も考え方も異なるので、両者は惑星の覇権を巡って長い間戦ってきました。
　時は流れ、幾度も戦争を繰り返すうちに、ついに世界は魔族の王に征服されてしまいます。
すべての富や資源、栄誉は魔族のものとなり、それ以来『人間』たちは重い税の下、辛い肉体労働を強いられる惨めな生活を送らなければならなくなったのでした。

　この物語は、そんな世界征服後の先を綴った、ちょっとした後日談です。