記憶を失くした総長

その時__突然頭の中に流れた言葉。

華蝶…凛月…白狼…。

何もかもが、分からなくて……胸が、痛くて、痛くて。

「落ち着け!大丈夫だっ!俺がついてるからっ…!」

そう言って手を強く握る少年。
駆けつけてきた看護師が酸素マスクを付けるとベッドごと移動される。
その時も握ってくれたその手がとても温かくて。

頬を何かがつたった。
それを優しく拭ってくれる。
この人はなぜこんなにも、優しくしてくれるのか。
何もわからないのに、涙は溢れ続けた。

麗華sideend
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