記憶を失くした総長
成輝side

処置が始まり、俺達は瑞希ちゃんの胃洗浄を見守っていた。
紗音さんが言っていたように見ていられないもので、今すぐ逃げ出したい気持ちに襲われる。
その時、処置室の扉が叩かれ、看護師が申し訳なさそうに入ってくると胃洗浄中の紗音さんに近づき要件を伝える。

紗「…医院長が?20分後に終わるって伝えて。」

この処置があと20分も続くと思うと地獄でしかなかった。
10分たった今、自分が胃洗浄をやられているような感覚に襲われ、気持ちが悪くなり下を向く。

大「…姉さん。俺、成輝と外に出ます。」

俺の異変に気づき、気を使ってくれたのだろう、大和は背をさすってくれる。

紗「うん。外来に入ってすぐのとこを曲がると自販機とソファーがあるから、そこで休んでて。…大丈夫か?」

顔をこちらに向け、聞いてきた紗音さんに頷き返事をする。
出る直前に桜哉に悪い、と声をかけ大和に支えてもらいながら処置室を出た。

成「…大和、ありがとう。」
大「別に。俺も居たくなかったし。」

俺に負担をかけないようペースを合わせ歩いてくれている大和に謝る。
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