記憶を失くした総長

___これは、殺気だ。

温厚そうな印象の強い昴さんから発せられた強い殺気に身体が自然に冷や汗をかき始める。

大「お…俺達の中では【DaTuRa】の者が飲ませたものだと思っています。」

実際、瑞希に付けた下っ端は姿をくらませている。
成輝の言ったように【DaTuRa】のスパイだったのだろう。

昴「…分かったわ。ありがとう。」

感じていた殺気が無くなり、今までような優しい声になった。

大「…あの薬って何か、聞いていいですか。」

ただ、思ったことを言っただけだった。

紗「あれは___高濃度の睡眠薬だ。
うちの病院では研究部があるからそこに回した。一応確認で、な。利用者が少ないもので 「もうっ、紗音ったら。」
紗「__すみません、熱くなって。」

姉さんがここまで話す時は大体、薬や研究についてだけ。

昴「ごめんなさい、大和君。
今のは忘れてちょうだい、患者さんのプライベートに関わってくるものだから。」

きっと病院内部の話なのだろうと強く頷いて、応えた。

聞きたいことがあったのを忘れていた。

__なんて言われるか分からず聞けなかった、というのが正しい。
でも、これを逃したらいけない気もして。

大「昴さん。」

問いかける。




大「さっきの急患は、月城麗華ですか。」
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