記憶を失くした総長
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紗「…失礼ですが、どちらの方の病室へ?」

後ろから声をかけられた花凜は足を止めた。
後ろを振り向けば無表情でこちらを見る声をかけたであろう女の医者が。

花「皇 瑞希の病室になります。私、彼女のマネージャーをしておりまして、

___花凜と申します。」

笑顔を見せ、名刺を渡しつつ自己紹介をする。

紗「…挨拶が遅れて申し訳ありません。皇さんの主治医の香澄 紗音です。宜しければ、入院についてご説明を 「ああ、大丈夫です、必要ありません。それよりも紗音さんって、おいくつなの?」

紗音はまたか、と心の中でため息をついた。

紗「…今年で21になります。」
花「まぁ、とてもお若いのね。それも…かなり。」
紗「……説明の方は必要でしたらいつでも。

____そちらの花束はお見舞いの品、ですか?…それも、かなり香りが強いようで。」
花「…ふふ…こちらは香りの強いものにして頂いたの。紗音さんにはお気に召さなかったかしら?」
紗「…えぇ少し。

失礼、鼻が敏感なものですから変に感じただけです。引き止めて申し訳ありません。皇さんの病室はこの先の角になります。__では。」

頭を下げその場から紗音は去った。
その背を花凜は面白いものを見るように眺めていたのは誰も知らない。

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