記憶を失くした総長

「…大丈夫そうだね。__特に夏希は。」

看護師の言っていたげっそりとは何を見て言ったのだろうか。

夏「むぁ?あんへ?」
雄「ほらほら、口の中に入ったまま喋らないの。」

口の中をいっぱいにしながら開いた夏希の口を雄太の左手が隠す。

夏「んぐっ。まぁ休業中だしこれくらい食べてもいいじゃん。」

そういう夏希は鳥の照り焼きを掴み、もう片方の手には未だ減ることの無いご飯が山盛りになっている。
前、テレビのインタビューで当たり前だとでも言うように「朝はスムージー、昼はサラダと鶏ムネ、18時前には夕飯を終わらせるようにしてますし、お米は4年ほど食べてません♡」なんて言っていたのに、なんという変わり様だ。

スタイルを保持するための習慣などと言っていたが本人のスタイルは暴飲暴食をしても変わらずで、『natsu』ファンや他のモデルが聞いたら驚愕ものだろう。

雄「夏希は本格的に紗音さんに料理を教えてもらうべきだね。あ、決して美味しくない訳では無いよ?ただ、経験したことがないような味だからみんな体がびっくりしちゃってるんだ。」
夏「…雄太……♡」

……雄太、お前が甘やかしてばかりいるから夏希は同じ過ちを繰り返すんだ…。

慎「これお見舞いのプリンとゼリー。

主に食べれてない雄太用だから夏希に全部食べられないように気をつけて。」
雄「うん、ありがとう。」

夏「やだな、慎都。

雄太が残した分は私が食べるからね!」

雄「夏希は優しいねぇ。」

良かった、沢山買っておいて。
ラブラブし始めた2人を無視して俺は1人病室を出た。
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