記憶を失くした総長
そして____確信した。
私は慎都を、知っていると。
『…慎都。』
慎「ん、」
急に口を開いた私の言葉を聞こうとしてくれているのが分かる。
『…待っててくれてありがとう。
もう少しだけ、待てる?』
その先の言葉は言えなかった。
ゆっくりと離れた慎都は私の頭に手を置く。
慎「…これだけは覚えておいて。」
___俺は麗華の味方だから。
慎「じゃあまた、会いに来るよ。」
そう告げると慎都は私のそばを離れていった。
私はピアノに向き直る。
『……あぁ、悔しいなぁ。』
私よりも、私が忘れてしまった人達の方が苦しんでいるというのに。
____全てを忘れてまで
私は何から逃げてしまったのだろう。
麗華sideend