記憶を失くした総長

『…持てるのはこれくらいかなぁ。』

2つの籠に某紅茶会社のパックレモンティーを合計14本入れる。
ふと砂糖と胡椒が少なくなっていたのを思い出したのでレモンティーの上にそれらを置いた。
レジに持っていくとアルバイトであろう同い歳くらいの男子がビックリして顔を上げたので苦笑いを返す。

「……全部持てるんすか??」
『え?あ、はい。これくらいなら持ちづらいだけで持てますよ。』

「…貴。___兄貴って呼ばせてくださいっ!」


『…へ?』

切られたレシートの裏にレジ横のボールペンで連絡先を書いたかと思うと手に握らされる。

「加賀春樹です!紅花院高校に今年入学した1年です!兄貴は!?」
『蒼高校に今年度から転入した2年の蒼海玲です。』
春「これからよろしくお願いします!玲兄貴!」

なにこれ。
____大量にレモンティーを買いに来たら、兄貴になりました…、は?


後ろが詰まっているので袋を掴むと足早にコンビニを出たのだった。
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