記憶を失くした総長
「玲。お前のグラス、これだろ?」

『そうそう、ありがとな。』

私の喉はレモンティーを求めていたため、渡されたグラスを一気に飲み干す。

『…んん!やっぱり、レモンティーは美味しい!』

さっきよりも美味しく感じるのは久方ぶりだからであろう。
と、思っていたその時たくさん拍手と歓声が送られた。

「やっぱ、大丈夫なんじゃん!先生も大げさだよな!」
「ねー!あんなに美味しそうに飲んでてね!飲ませるななんてひどいことを言ってるよ!」

……理解が追いつかないのは急展開だからか、それともだんだんと上がっていく体温のせいか。

成「…まさか、お酒、割ってる?」

成輝はグラスを持ってきた男子に詰め寄る。
「な、何飲んでんのかなぁって飲んだらただのレモンティーだったから半分は飲んでウィスキーで割ったらちょー美味くて!玲も絶対気に入るから何も言わずに渡した、んだけど。」

途中でこちらに来た成輝はグラスを奪い、私の腕を引く。

成「玲、早く水飲んで___、」


その言葉の先の記憶は____無い。

麗華sideend
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