記憶を失くした総長
拓「……あと少ししか時間ないんだから食えよ!どうせ俺が払うんだからよー。」
40人分払うつもりだったのか…って、20万だぞ!?
こう見えて拓先が金持ちだったことに心底驚きながら皆店に戻っていく。
「…さっきのひと、見たことあるよーな…。」
「……それ、おれも思ってた。」
皆、酔いが回りながらも嵐のように去っていった渚沙に興味を示す。
俺は婚約者だと言ったことが頭に引っかかっていた。
___あぁっ!!!
店の端の方で大声で叫んだのは、モデル業をしている女子生徒だったか。
「あの人……一昨年引退した【雨宮渚沙】だよ!」
___15歳の頃、二流劇団のヒロインが本番数日前に怪我をして容姿が似ていると調子に乗った団員に街で代役を頼まれ、快く了承したかと思うとリハで撮った動画と台本を1度見ただけで驚異的な記憶力で頭に入れ、その身体能力と演技力で2日目から大盛況。
3日目に訪れた俳優事務所の社長にスカウト、タレント名を決める前に学園ドラマ主人公として全国にその姿を放送。
ネットでかなり騒がれた頃、素性が明らかになった、と女子生徒は語り続ける。
___説明を聞いているうちに、あっという間に来た終了時間にそれぞれが文句を零しながらもまた明日と声を掛け合い打ち上げは解散された。
成輝sideend
※未成年の飲酒シーンが見られますが、決して未成年飲酒を助長するつもりはございません。