記憶を失くした総長

イヤホンから流れる曲のテンポに合わせながら走り続ける。
メーターが5キロになった頃ゆっくりとスピードを落としてランニングマシンから降りた。

マスクを外し、レモンティーを流し込む。
ここまでは軽いアップのようなものだけど、最近は呼吸器も強くなってきた気がする。

気合を入れ直して再びマスクを付けて、別の道具に向かった。

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＿＿＿ざっとこんなものか

呼吸を整えて、時計を見ると時刻は6時頃。
なのでだいたい1時間半近くトレーニングをしたことになる。

思ったよりも集中してしまい大浴場に行っている暇はあまりないのでここら辺で筋力維持のトレーニングは切り上げる。

音楽を停止し荷物をまとめて肩に鞄をかけた時だった。

「…華！」

入口扉に背を向けていた私は声で誰かは分かっているが、一応確認。

『あ、大和、おはよう。』
大「……いつもは俺だけだから、電気ついててびっくりした。」

えぇ、こんないいジムなのに1人しか来ないなんて、勿体ないなぁ。

『これからは私が毎日来るから2人になるね。…そうだ、今度大和のトレーニングメニュー教えてよ。』

一緒にやろう、そう言うと静かに頷いた。