記憶を失くした総長
え、誰。
知らない知らない。

口から出たのは

『はあ。』

と腑抜けた返事。

「…担任呼ぶな?『えー、拓人せんせーしきゅーりじちょーしつに来い。間に合わなかったら減給ねー?……20秒だ。』」

ちなみにこの部屋は2階の端にあった。

廊下の端から端まで大体70mほどで、それより上の階だと考えると…20秒はギリってとこ?

そんなこと考えているうちに時間は過ぎていき、残り5秒。
__さーん、にーぃ、いちのタイミングで扉が開く。

「…チッ、間に合ったか。」

あからさまに残念がる理事長。

「…はぁっ……來っ!その呼び方やめろって言ってんだろ!5階からどんだけかかると思ってんだ!って…麗華か!?」

やっと私の存在に気づいたようだが、私は私を知る2人を知らない。

『___はい、如月麗華です。
ここでは蒼海玲ですので、よろしくお願いします。』


よろしく、と頭を下げる。

……きっと、私が忘れてしまった人達に。
< 24 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop