記憶を失くした総長
航side
雪でも降りそうな、凍てつく冷たい雨が降る日だった。
昼から降り始めた雨は時間が経つにつれ強さが増していき、気まぐれで遠回りして帰ろうと思った自分を恨む。
「…さみぃな。」
足早に橋を渡り始めれば、橋の真ん中に人影が1つ。
白金色の腰まで伸びた髪。
その整った顔立ち。
橋に寄りかかりながら、雨に濡れて目を瞑る少女を見た瞬間、恨めしく思っていた雨が生み出した風景に見惚れていた自分がいた。
立ち止まった俺に気づいたのか少女がこちらに視線を寄せたので、思わず俯いてしまう。
『____、』
少女が何かを言ったがビニール傘に当たる雨音で聞こえず、妙な金属音だけその場に響く。
「今、なんて」
顔を上げた時、そこに少女は居なかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
彼女は眠り続けている。
2ヶ月の間も、ずっと、ずっと。
そろそろ起きてくれ。
俺はお前を助けたいんだ。
俺は眠りについた。
航sideend
雪でも降りそうな、凍てつく冷たい雨が降る日だった。
昼から降り始めた雨は時間が経つにつれ強さが増していき、気まぐれで遠回りして帰ろうと思った自分を恨む。
「…さみぃな。」
足早に橋を渡り始めれば、橋の真ん中に人影が1つ。
白金色の腰まで伸びた髪。
その整った顔立ち。
橋に寄りかかりながら、雨に濡れて目を瞑る少女を見た瞬間、恨めしく思っていた雨が生み出した風景に見惚れていた自分がいた。
立ち止まった俺に気づいたのか少女がこちらに視線を寄せたので、思わず俯いてしまう。
『____、』
少女が何かを言ったがビニール傘に当たる雨音で聞こえず、妙な金属音だけその場に響く。
「今、なんて」
顔を上げた時、そこに少女は居なかった。
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彼女は眠り続けている。
2ヶ月の間も、ずっと、ずっと。
そろそろ起きてくれ。
俺はお前を助けたいんだ。
俺は眠りについた。
航sideend