記憶を失くした総長
麗華side

『悪い。ちょっと抜ける。』

そう言い、向かった場所は理事長室。
先程も会った來くんは明らかに体調の悪そうな私を見ながら顔を顰めた。

『そんな顔しないでよ。このあと行けばいいんでしょ。』
來「俺は今すぐに行ってほしいよ。」

その言葉に私は苦笑しながら着替えが準備されている部屋に向かった。

『…あ、これいいね。』

そう言って着替えた姿を來に見せに行く。

來「…却下。足出しすぎ、怪我したらどうする。…傷が隠れる奴にしろ。」

私には隠していることがいくつかある。
いつもは黒のタイツや、長いズボンで隠しているのだが、左膝、左腿、右の足首にちょっとした傷があるのだ。
だから水着もダイバーみたいなやつだし、
常に隠すようにしている。

『…今は男子だもんね。じゃあ…。』

そう言って次に着替えたのは

『…どう?』

七分丈のパーカー、スポーツ用のタイツ、ハーフパンツ、極めつけは全身真っ黒ということ。

來「…安心できる。麗華が着ると何でも似合うな。でも…細すぎ。」

過保護気味な來くんのOKも出たので、レモンティーを飲みながら会話をする。

來「膝の調子は?」
『大丈夫。
長距離走ったとか、正座し続けたとかじゃないし。ほんのちょーっと、違和感があるくらいかな。』
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