寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
毛布を抱き込み、うしろへじりじりと下がる。声が震えてしまった。
「ここ、どこ?」
「わ、私の部屋です」
「……キミの?」
合点がいかないようにしながら男の人は部屋をざっと見渡した。
「昨夜いきなり上がり込んで、そこでパタッと……」
経緯を簡単に説明する。
「勝手に上がり込んだ? ……俺が?」
信じられないといった様子で男が自分の胸を指差すから、こくこくと私は頷いた。
すると彼は「嘘だろ……」と言って長く深いため息を吐き、「それは申し訳なかった」と素直に謝った。
ただでさえ気の弱い私は、そうやって下手に出られると余計に強気を貫けなくなる。
「あ、いえ……」
俯いて首を横に振った。