寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「お忙しいところ失礼します。今夜のお帰りは何時頃の予定ですか?」
「そうだな……夕方に特に予定はないから七時には帰れるだろう」
風見さんは腕時計を確認しながら答え、「デートの誘いか?」といたずらに目を細める。
「あ、いえ、違うんです」
七時では、私が田丸さんとご飯を食べて帰ってからでは間に合わない。
私の困っている様子を察してか、風見さんが「俺とのデートじゃない予定が入ったのか?」と尋ねる。
「実は田丸さんからお食事を誘われて……」
私がボソボソと言いかけると、風見さんは目をぱちくりとさせた。
「夕食のことなら心配するな」
「よろしいんですか?」
快諾してもらえるとは思いもせず、目を瞬かせて問い返す。