寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

「お忙しいところ失礼します。今夜のお帰りは何時頃の予定ですか?」

「そうだな……夕方に特に予定はないから七時には帰れるだろう」


風見さんは腕時計を確認しながら答え、「デートの誘いか?」といたずらに目を細める。


「あ、いえ、違うんです」


七時では、私が田丸さんとご飯を食べて帰ってからでは間に合わない。
私の困っている様子を察してか、風見さんが「俺とのデートじゃない予定が入ったのか?」と尋ねる。


「実は田丸さんからお食事を誘われて……」


私がボソボソと言いかけると、風見さんは目をぱちくりとさせた。


「夕食のことなら心配するな」

「よろしいんですか?」


快諾してもらえるとは思いもせず、目を瞬かせて問い返す。

< 104 / 318 >

この作品をシェア

pagetop