寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
◇◇◇
その夜、田丸さんが連れて来てくれたのは、会社からほど近い洋風居酒屋だった。
テレビや雑誌で紹介されそうな綺麗な店は、仕事帰りの綺麗な女性やいかにも仕事のできそうな男性たちで溢れている。
白い壁をベースにしたおしゃれで明るい店内の個室に案内してもらい、私のテンションは密かに上昇。
こんなお店に来られる日がくるなんて!
憧れていたOL生活に心がウキウキしてしまう。
「なんだか嬉しそうね」
四人掛けテーブルに向かい合って座ると、田丸さんがニコニコ顔で私を見ていた。
「はい、こういったお店は初めてで」
私が答えると、田丸さんは「そうなの?」と驚いた様子だ。
「ずっとフリーターだったので縁がありませんでした。仕事帰りにこういったお店に来ることはずっと憧れだったんです」
「そんなに喜んでもらえるとは思わなかったわ」
田丸さんは嬉しそうに私にメニュー表を手渡してくれた。