寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
そこで風見さんから預かったお金のことを思い出す。
「実は社長からこれを……」
私が一万円札をテーブルの上に置くと、田丸さんは「え?」と目を丸くした。
「社長から?」
どうして?という顔で田丸さんが私を見る。
「はい、これで食べて来いと」
「……そう。なんかよくわからないけれど、そう言ってくれたのなら遠慮なくいただいちゃいましょ」
田丸さんはいたずらな笑みを浮かべると、メニュー表を開いて次々と注文をしていった。
お揃いのグリーンフィズで乾杯をして、早速食べ始める。
話をしていくうちに、なんと田丸さんが私のひとつ上だと判明。
もっと年上だと思ったと驚く私に、「そんなに老けて見える?」と田丸さんはショックを受けたようだった。
決して老けて見えたわけではない。
落ち着いた大人の雰囲気だったせいだ。