寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「茜、こっちだ」
風見さんに続いて降りた私は、広がった光景を前にして動けなくなった。
レーンが八つある五十メートルのプールがそこにあったのだ。
ドーム型の天井は全面ガラス。三方の壁もガラスになっていて、まるで夜の街にぽっかりと浮かんでいるようだった。
「PPって……」
「プライベートプール」
風見さんが微笑む。
まさかプールへ、それもマンション内へ連れてこられるとは思いもせず、私は驚きで口をだらしなくポカンとしたままだった。
彼によれば、二十階以上の高層階の住人専用だという。
セレブとはこういうことを差すのだろうと、言葉も出なかった。
風見さんが用意させたのか、ウエストに切り込みの入ったオーソドックスなワンピースタイプの水着に着替えてプールサイドへと行くと、彼は先に着替え終えていた。
逞しく引き締まった彼の体を見て心音が弾み、いけないものを見てしまった背徳感を覚える。
それに対して自分の水着姿が恥ずかしくて上に羽織ったラッシュガードのパーカーの前をかき合わせると、風見さんにそれを脱がされてしまった。