寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「あ、当たり前です……!」
心臓が口から飛び出るかと思ったくらいだ。
「茜があんまり遅いから隠れてた」
「え、それじゃ私、負けたんですか?」
「そういうことだ」
てっきり私が勝ったのかと思ったのに。
風見さんは勝ち誇ったように胸を張った。
「……私が風見さんの言いなりに?」
「そうだな」
「そんなぁ……」
満足気に風見さんが笑う。
いったいなにを言い渡すつもりだろう。
風見さんはその目にいたずらな色を滲ませた次の瞬間、熱を感じるような瞳に変える。
ストレートに見つめられ、私は間髪容れずに動けなくなった。
「茜から俺にキスしてみようか」
「えっ……」
私からキスって……!