寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

意を決して風見さんに一歩近づき、彼の肩に手を添えながら背伸びをする。
遠慮しながら顔を近づけると、嫌でも風見さんと目が合った。

逸らすことのできない視線に捕らわれ、心拍数は必然的に上昇する一方。
彼の吐息を唇に感じただけで、気が遠くなりそうになる。
心臓は今にも限界点を超えそうなほどに早鐘だった。

ふわりと彼の唇に触れてすぐにパッと離れると、風見さんが「それではまだ不十分だ」と低い声で囁く。
躊躇いながらもう一度唇を合わせ、この前車の中でされたキスを真似てみる。

恐る恐る彼の唇の中に舌の先を差し込んだときだった。
それまでされるがままだった風見さんが、いきなり私を抱きすくめ、私の舌を激しく絡め取った。


「――んっ」


ひとつにまとめていた私の髪のゴムを外し、かき上げるようにして後頭部に手が差し込まれる。
濡れた髪がはらりと肩に落ち、その冷たさにひやっとしたのはほんの数秒だった。

すぐにそんな冷たさがどうでもよくなるほどの熱いキスにのめり込んでいく。
夜空に浮かぶプールで風見さんとふたりきり。
ロマンチックなシチュエーションが、私の心をいっそう熱くした。

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