寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
見せつけられた独占欲


「これ、落とされましたよ」


オフィスゲートをくぐろうとしたところでかけられた声に振り向くと、警備員がハンカチを手にしていた。


「……あっ、ありがとうございます」


慌ててお礼を言って受け取り立ち去ろうとすると、「あの」と再び引き留められる。


「はい……?」


振り返ると、警備員はなにやら言い躊躇うように目をあちらこちらへと彷徨わせていた。
どうしたんだろうと不審に思っていると、「おはよう、茜。どうかしたの?」と沙智さんが声をかけてきた。


「あ、いえ、落としたハンカチを拾っていただいて」

「そう。ほら、遅刻しちゃうわよ」

「そうですね」


警備員にもう一度「ありがとうございました」と頭を下げ、沙智さんとゲートをくぐった。

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