寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
「息子の嫁にしたいと言っていたが、茜はどうする?」
風見さんが探るような目で私を見る。
「そ、それはご冗談だと……」
社交辞令の延長だろう。
本気で言うわけがない。
「いや、会長はかなり本気だったな」
「そう言われましても……」
急にそんな話をされて『茜はどうする?』なんて聞かれても、私はなんて答えたらいいというのか。
私が戸惑っていると、にわかに風見さんの顔が曇っていく。
「茜はもっとはっきりと意思表示をしたほうがいい。茜はおそらくこれから、こういった話や誘いが頻繁に入るようになるだろう。男に言い寄られたときにそんな返答では、相手の思うようにされてしまうぞ」
「私が男の人に誘われることは……」
今までだってまったくと言っていいくらいなかったし、これからのことを言われても想像もつかない。