寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

◇◇◇

翌朝目覚めた私は、途方もない倦怠感に襲われていた。
自分のベッドに帰ろうと思っても、体がそれを許してくれない。風見さんの腕が私の背後から腰に巻かれていたことも、抜け出せない一因だった。

結局、夕食もとらずに私たちは未明まで体を重ね、飽きることなく口づけを交わしていた。

どこに触れられたら気持ちよくて、どうされたら感じるのか、それをひとつずつ教えられた気がする。
驚くほどに乱され、自分のものとは思えない甘い声を漏らした。
風見さんが言っていた『全部教えてやる』とは、そのことだったのだ。
薄れゆく充足感を抱え、風見さんが寝返りを打った隙に私はベッドから下り立った。



「おはようございます。朝食の準備ができていますので、シャワーを浴びてきてください」


キッチンに顔を出した風見さんの顔をまともに見られず、早口で言う。


「では、私は先に出ますので」


エプロンを外してダイニングチェアにかけると、風見さんに「待て」と止められた。

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