寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
琢磨さんは周りを見渡して笑みを浮かべた。
「兄貴はもう少ししたら出かける予定だよね?」
琢磨さんがリサーチ上手なのか、社長の予定まで把握しているとは驚きだ。
確かに風見さんは来客が終わり次第、ミヤコの社長と会うことになっている。
仕事とは別の相談があるそうで、私の同行は必要ないと風見さんには言われていた。
「それに今日は茜ちゃんのバースデーだよね」
「えっ! ……どうしてそれを?」
口に手を当てて琢磨さんを見上げた。
彼の言う通り、今日は私の誕生日。
「履歴書」
琢磨さんは私の反応を面白がりながらボソッと言った。
――そうだった。
琢磨さんは私の履歴書を見ていたっけ。
ここへ来た初日に、秘書検定の話をしたことを思い出した。
「でも、よく覚えていらっしゃいましたね」